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特許・実案

セミナのご案内
2021.02.23

日本
その他・全般

実在事件から学ぶケーススタディ -iPod特許侵害訴訟-
~特許の取得・係争についてダントツの応用力をつけたい方へ~

上記内容にて、3月19日(金)令和3年3月19日(金)13:30~16:30
オンラインセミナーを開催いたします。

詳細は添付資料をご確認ください。
ご連絡をお待ちしております。
 

インドへのPPH申請が2012年12月7日から可能に
2020.12.07

インド
出願

特許庁HPに、「日インド特許審査ハイウェイ試行プログラム」に関する記事がアップされました。

インド知的財産庁は、特許審査ハイウェイPPH(PatentProsecution Highway)試行プログラムに基づく申請受付を2020年12月7日から開始します。
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/pph/japan_india_highway.html

中国専利第4次改正法
2020.12.06

中国
出願

中国において、専利法第4回改正案が、2021年6月1日から施行されることになりました。

IATは各国の代理人様から情報を得ておりますが、本件についてDragon IP Group様からのNewsletterを紹介させて頂きます(掲載についてご了承頂いております)。添付資料によくまとめられています。

「中国では、2020年10月17日に、
 専利法第4回改正案が全国人民代表大会常務委員会を通過し、
 2021年6月1日から改正専利法が施行されることになりました。

 専利法は、1985年に施行され、
 これまでに3度(1992 年、2000年、2008年)の改正が行われています。
 今回は12年ぶりの改正であり、主な改正内容は、
 『専利権の合法的な権益を保護』、『専利の実施と応用の促進』、『専利付与制度の整備』に係り、
 専利制度の発展における一里塚になるものと言われております。

 その改正内容についてなのですが、権利化段階では、
 部分意匠制度、意匠の国内優先権制度、職務発明の部分が関係する改正になっております。

 弊所にて紹介資料を作成しまして、添付させていただきました。
 文字の多い資料でして、宜しければ見てみていただければ幸いです。

また、もし特にご興味がある箇所、その他の疑問点などがございましたら、
 メール、Teamsなどを通じてご説明させていただくことが可能ですので、
 何かございましたら、お気軽にご連絡いただければ幸いです。

 宜しくお願い致します。

* . * . * . * . * . * . * . * .
Dragon IP Group
主 席 郝慶芬
董事長 郝興華
総経理 許静
日本部 雙田飛鳥
〒 100082
北京市海淀区西直門北大街 32 号院
楓藍国際中心 2 号棟 10 階
東京 Tel: 03-5510-7878
(国内電話にて呼び出していただけます)
中国 Tel: 86-10-82252547
Fax: 86-10-82250563 82250592
Website: www.dragonip.com (Beijing)
    www.dragonip.co.jp(Tokyo)
E-mail: info@dragonip.com
* . * . * . * . * . * . * . * .」

日本出願を基礎とするPCT出願において、全指定にて日本移行すると、日本出願の審査請求料を安くできる
2020.10.06

その他・全般
出願

日本出願を基礎とするPCT出願において、全指定にて日本移行すると、日本出願の審査請求料を安くできる可能性があります。

(1)日本出願を基礎としてPCT出願を行う場合、日本出願の取り扱いに以下の態様があります。
① PCT出願において指定国から日本国を除外する場合
② PCT出願において指定国から日本国を除外しない場合(PCT出願で日本移行する場合)


(2)「①PCT出願において指定国から日本国を除外する場合」、日本出願に対する審査請求料は、以下の通りです。これは通常の出願と同じです。
<審査請求料>
 138,000円+(請求項の数×4,000円)

 一方、「②PCT出願で日本移行する場合」、日本出願に対する審査請求料(日本特許庁が国際調査報告を作成した場合)は、以下の通りです。
<審査請求料>
 83,000円+(請求項の数×2,400円)
 *2019年4月1日以降の国際出願日を有する出願の場合

 一例として、請求項数が10個の場合で、法定費用を比較すると、以下のようになります。
「① PCT出願において指定国から日本国を除外する」=178,000円
「② PCT出願で日本移行する場合」=107,000円
 すなわち、「②PCT出願で日本移行する場合」の方が、法定費用において71,000円安くなります。
 なお、IATでは、国内移行の手数料は消費税を含めて11,000円ですので、当所にて手続きを行う場合、請求項10個のケースでは、60,000円安くなります。

(3)「①PCT出願において指定国から日本国を除外する場合」に関して、比較的早い段階で日本出願について審査請求が行われ、その審査結果が国際調査報告の作成前に利用できる場合(先に日本出願の審査結果ができており、後に国際調査報告が作成される場合)、PCTの願書に日本出願の願番を記載して、「先の調査の利用請求」を行うことによって、調査手数料の一部返還を請求できます。
 具体的な金額は、以下の通りです。
 日本語による国際出願の場合:調査手数料70,000円のうち28,000円を請求により返還されます。
 英語による国際出願の場合:156,000円のうち62,000円を請求により返還されます。

 日本語によるPCT出願(この態様が多いと思います)は、「②PCT出願で日本移行する場合」は「60,000円」安くなるので、「28,000円」の返還を得るよりお得となります。

AI関連特許
2020.05.24

日本
出願

特許庁は、AI関連技術に関する事例を作成、公表しています(頁右下の「資料はこちら」をクリックください)。

(1)この資料には、記載要件及び進歩性の判断について事例とともに示されていますが、簡単に言えば、以下の点がポイントです。権利化するためには、これらのポイントをクリアする必要があります。
<記載要件>
①教師データに含まれる複数種類のデータの間に相関関係等が存在することが出願時の技術常識を鑑みて推認できるか否か
②教師データに含まれる複数種類のデータの間の相関関係等が明細書等に記載された説明や統計情報に裏付けられているものであるか否か
③教師データに含まれる複数種類のデータの間の相関関係等が実際に作成した人工知能モデルの性能評価により裏付けられているものであるか否か

<進歩性>
⑪人間が行っている業務の人工知能を用いた単純なシステム化であるか否か
⑫入力データから出力データを推定する推定手法の単純な変更であるか否か
⑬学習に用いる教師データの追加に、顕著な効果が認められるか否か
⑭学習に用いる教師データの変更が既知のデータの組み合わせであり、顕著な効果が認められないものであるか否か
⑮学習に用いる教師データに対する前処理(進歩性肯定)

(2)弊社(IAT)でも、AI関連特許のご相談が増えています。進歩性については、「⑪人間が行っている業務の人工知能を用いた単純なシステム化」、「⑫入力データから出力データを推定する推定手法の単純な変更」となる場合も多いですが、教師データのつくり方に工夫があったり、データの間の相関関係がユニークであることことから特許出願に至ることもあります。
 何かお困りごとがありましたら、お気軽にご連絡ください。TV会議にも対応しております。

特許異議の申立ての状況
2018.01.04

日本
審判等

特許庁から「特許異議の申立ての状況、手続の留意点について」が公表されています。

平成27年度364件、平成28年度1214件、平成29年度9末現在934件の申立てがされています。取り消しになる割合は、審理中の案件を除けば、約10%のようです。IATは受け側の代理が多いですが、最終処分はすべて「維持」となっています。
「特許異議の申立年毎の処理状況(割合及び件数)(速報値)」

意匠

部分意匠における位置・大きさ・範囲の考慮(侵害)
2021.03.08

日本
出願
その他・全般

 部分意匠の類否判断に関して、その位置、大きさおよび範囲をどう考慮して構成態様とすべきかということは悩ましい問題です。
 本年2月に、この点について判断した事件があったので、ご紹介します。

1. 自動精算機事件(控訴棄却)
(令和2年(ネ)第10053号差止請求控訴事件:知財高裁令和3年2月16日
 原審:東京地方裁判所令和元年(ワ)第16017号)
  https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/038/090038_hanrei.pdf

 原告(控訴人)は、所謂タッチパネル式の自動精算機(食券の発行等が可能な物)に係る部分意匠(第1556717号)の意匠権者です。被告(被控訴人)は、同様の機器を製造・販売しています。
 部分意匠は、タッチパネル部とその枠部の一部を実線とするものです。機器本体(判決文における筐体)は、破線で表現され、意匠登録を受ける部分以外の部分です。

 私見ですが、双方の形態を見比べて、原告が物品全体との比較による部分意匠に関するプロポーションが近しいと判断したことが提訴の理由である印象を受けました(別紙参照)。

(1) 構成態様としての部分意匠の位置・大きさ・範囲
 上記の印象は、原告がタッチパネル部の形態について、筐体との関係における大きさ等に関する比率を種々主張していることから感じた次第です。
 一方で、原審と共に本件(控訴審)においても、『部分意匠たる本件意匠の位置,大きさ,範囲は,破線で示されたにすぎない筐体との関係で決せられるものであり,(中略)具体的な比率までもが本件意匠の内容となるものではなく,タッチパネル部が本体の正面上部右側に本体の上辺より上方に突出し後傾する態様で設けられているとの限度で構成態様になり得るにすぎないというべきである。』とされました。

(2) 公知意匠を参酌した登録意匠の要部認定
 登録意匠の要部(登録意匠の特徴)は、複数の公知意匠(参考文献として挙げられた公報に表された意匠)も参酌して、登録意匠のうち次の態様を要部と判断しました(別紙『原告意匠の要部』の赤点線と点線で囲んだ部位の態様)。

・タッチパネル部下側部分が自動精算機本体の正面から前方に突出する態様で設けられている。
・枠部の外周を囲み正面から背面に向けて側方視末広がりに傾斜する傾斜面部(別紙1「参考図1」では面取り部)が設けられており,傾斜面部(下側部分を除く。)は,上側部分の外縁上側,左側部分の外縁左側,右側部分の外縁右側において,ディスプレイ正面に対して垂直方向に設けられた周側面に接する。
・傾斜面部の下側部分(なお別紙1「参考図1」では「周側面(下側部)と表記されているが,「面取り部(下側部)」とするのが正しい。)は,傾斜面部の上側部分の外縁から傾斜面部の下側部分の外縁下側まで(控訴人が主張する「タッチパネル部正面縦幅」と同義であると解される。)の直線長さの約15分の1ないし17分の1の幅に形成されて,傾斜面部の上側部分及び左右側部分の幅よりも約4倍の幅広に形成されている。

2. まとめ&補足
 上記の要部認定の結果、被告製品に係る意匠は、各態様に差異があることから、原告の登録意匠とは非類似であると判断されました。

 原告は、当該登録意匠の他にも、同物品についてタッチパネル部、その枠部および筐体からなる部分意匠の登録も有しています(意匠登録第1556716号;別紙『別意匠(原告)』)。原告がこちらの意匠権侵害を問わなかったのは、被告意匠の筐体に係る態様が当該登録意匠の態様と相違したことが理由かもしれません。

令和元年意匠法改正に係る「画像意匠」の登録状況
2020.12.28

日本
出願

 意匠法の改正により本年(2020年)4月1日から保護対象として、物品を問わない画像も保護対象とされました。
 今回は、これらの画像意匠の登録状況について簡単に触れたいと思います。

1. 初報
 2020年11月9日に、画像意匠の最初の登録(意匠登録第1672383号)がされた旨が、次のウェブサイトで報じられました。
https://www.meti.go.jp/press/2020/11/20201109002/20201109002.html

 当該画像は、物品の説明によると、画像投影装置付き車両より路面に照射される画像であって、走行時または停車時に車両の周辺に照射されるとのことです。またこれにより、外部に対しては車両の存在を、運転手に対しては車両周辺の路面の状況を視認し易くさせることができるそうです。

2. その後の登録状況
 JPlat-Patで確認したところでは、2020年12月28日現在で、本年4/1以降に出願されたものとして、上記の登録意匠を含めて24件の画像意匠に関する登録を確認することができます。なお、可能な範囲で調べた限りでは、画像意匠に関する審決は未だ出されていないようです。
 登録意匠と挙げられている参考文献に係る意匠を可能な範囲で比較してみると、特に審査が厳しくなったような印象はなく、従来の画像に関する意匠の審査と変わらないようです。また、従来のDタームと比べて細分化されたものが複数の付与されていることから、調査の精度が上がるようにも感じました。

3. まとめ
 登録件数が少ないので、これから登録が増えると思われます。今後の登録や類否判断他に関する審決等の増加が期待されます。

意匠の使いみち(3回目)
2020.11.28

日本
出願

 今回は、3回目として特許出願を意匠登録出願の使い分けする際の一案について検討してみます。

1.特許出願と意匠登録出願の双方を出願するときに意識すること
 今回も、前回に引き続き、特許出願と意匠登録出願の双方を出願する場合に、双方の権利範囲を意識してはどうか?という話です。

 前回は、特許と登録意匠においてある程度重なる構成を残しつつ、夫々の権利範囲をずらしたものを挙げました。技術的なアイデアを発明(技術的思想)と意匠(物品等の形態)として異なる観点からとらえた場合に、よく見かける方策です。
 一方で、同じ技術的アイデアに関するものであっても、夫々の権利範囲に敢えて重ならないようにすることができる場合もあります。
 つまり、意匠では発明の内容から外れた/ずれた範囲のみをカバーすることを意識してみます。

2.具体例
 具体例です。ただし、これらの登録例は、私が独断で選択して、比較・検討したものであり、権利者等の当事者が意識した旨の話を聞いたものではありません。登録意匠等の概略は別紙にあります。

・第15606729号『安全キャビネット』
 意匠に係る物品は、実験等で使用されるものです。物品前面の作業者が腕を入れる隙間下に、多数の小円形の窪み(ディンプル)が設けられた端部を部分意匠とするものです。

・特許第6313938号『ドラフトチャンバー』
 請求項に係る発明は、物の内部の構造およびディンプル周囲の突起を構成要素としています。また、当該特許に係る公開特許公報(特開2015-039646)をご覧頂けば判るように、当初の特許請求の範囲では、物の前面にある3つの端部に多数の小円形ディンプルを設けたものとして発明を特定しています。
 意匠に係る物品と発明に係る物を意図があって違えたのかは不明ですが、意匠の権利範囲を特許から大きく外した狙いをうかがうことができます。

3.まとめ
 前々回から今回まで、意匠の使いみちについてお話しをさせて頂きました。特許との比較による話が主となりましたが、機会があれば商標との比較についても触れようと思います。

意匠の使いみち(2回目)
2020.10.22

日本
出願
その他・全般

 今回と次回においては、特許出願を意匠登録出願の使い分けする際の一案について検討してみます。

1.特許出願と意匠登録出願の双方を出願するときに意識すること
 様々な目的や狙いから、特許出願と意匠登録出願の双方を出願することも多々あります。このような場合に、双方の権利範囲を意識してはどうか?というのが今回の話です。

 特許実務では、審査を通じた補正により発明の内容(権利範囲)が変わります。言い換えると、好ましい(権利が強い/広い)請求項を検討しても、補正の結果として発明の内容が変わることも多いです。
 これに対して、意匠実務では、不一致を解消する等の限られた実体補正しかできないため、一発勝負です。よって、事前に権利範囲にあたりをつけて意匠の内容を検討することができます(公知意匠との関係で、権利範囲が狭くなることはありますが)。
 そこで、発明の内容が変わることを前提に、意匠では発明の内容から外れた/ずれた範囲をカバーできないかについて予め意識しておきます。

2.具体例(特許発明に係る構成要件の一部に係る形態のみを意匠登録)
 次の例は、私が独断で選択して、比較・検討したものであり、権利者等の当事者から意識した旨の話を聞いたものではありません。登録意匠等の概略は別紙のとおりです。

・特許第3837151号『タグ付きボルト』
 当該発明に係る物は、データ(情報)の読み書きが可能なIC(集積回路)タグが内蔵されたボルトです。ただし、それだけでは特許化されたものではなく、ボルトの内部の構造が発明の構成要件とされています(別紙では従属請は省略)。

・意匠登録第1278412号『情報記憶器』
 こちらは、内部構造を問わない形態について登録されています。

 上記の例では、内部構造が構成要件に係る構造と異なるタグ付きボルトが実施された場合には、技術的範囲に属さないため特許権侵害を問うことができません。これに対して、意匠登録により、形態が同一/類似であることが条件であるものの、例えば劣化発明の類の実施に対して意匠権侵害を問うことができる可能性があります。

3.まとめ
 特許出願と意匠登録出願の双方を出願することは多々あると思います。この場合に、請求項の内容は変わっていくという点を考慮しながら、出願すべき意匠の内容を検討してはいかがかと思います。

意匠の使いみち(初回)
2020.09.23

日本
出願
その他・全般

1.特許出願と比べた意匠登録出願のメリット他
 色々なところで既に言及されているメリットして、よく次のメリットが挙げられることがあります。
 ・登録までに要する諸費用が安価
 ・登録までの期間が短期
 ・物品の形態なので、内容を直感的に把握可能
 また、特許(発明)は高度な技術的思想なので、要は技術的アイデアとして高度である必要があります。この点、意匠については、形態として新規等の要件を満たせば、技術的アイデアの高低を問題とせずに登録を受けることができます。この点もメリットです。

 ただし、意匠登録は、権利範囲が狭い/不明確であることが、デメリットとして挙げられることがあります。登録意匠全般に関するデメリットではないので個別に検討する必要がありますが、当該デメリットについては、関連意匠や部分意匠を複数登録することにより、ある程度のカバーは可能であると考えます。

2.具体例
 技術的アイデアの高低を問題しないことに係るメリットについて、具体例をあげます。ただし、これらの登録例は、私が当該メリットを感じたものであり、権利者自らがそれを主張したものではありません。登録意匠の概略は別紙にあります。


 ・第1322037号『アンテナ』
 データ(情報)の読み書きが可能なIC(集積回路)チップに接続されるアンテナです。技術的アイデアとして「導体を平面上に矩形状に周回させたアンテナ」では特許化は難しいかもしれません。しかしながら、意匠登録であれば、周回させた導体の形態が新しければ、保護は可能です。

 ・第1421326号『ドラフトチャンバー』
 こちらは、実験等で使用されるドラフトチャンバーです。「作業スペースの傍に備品収納用扉を設けたドラフトチャンバー」では、技術的アイデアとして特許化が難しいかもしれません。しかしながら、当該意匠登録では、作業スペース前面のパネルと共に扉に係る形態を部分意匠とすることにより、技術的アイデアを上手に保護しています。

3.まとめ
 今回は、技術的アイデアとしては疑問がある場合に、特許ではなく意匠を用いた例を考えました。次回は、双方による保護の重ね方/分け方を検討してみます。

意匠調査について
2020.07.20

日本
その他・全般

 意匠の調査に関して、出願前の先行意匠調査(公知意匠に類似するか否かの調査)と侵害調査(意匠権侵害か否かの調査)の違いがよくわからないという話があったので、今回は簡単にまとめてみました。

1.先行意匠調査
 誤解を恐れずに敢えて言えば、こちらの調査を完璧に行うことは不可能です。
 ご存じのように、登録要件にある公知意匠は、意匠法3条1項各号から次の通りです。少し考えただけでも、膨大な数の意匠が該当するであろうことは明らかです。残念ながら、該当する全ての意匠を調査し尽すことは、時間と費用の点からも限界があります。

 ・出願前に日本国内外において、公然知られた意匠
  公然知られた:不特定の者に秘密でないものとして現実に知られていること
 ・出願前に日本国内外国において、頒布された刊行物に記載された意匠
  刊行物:新聞、雑誌、書籍、カタログ、公報等
 ・出願前に日本国内外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠
  電気通信回線を通じて利用可能:各種ウェブサイト、電子書籍、電子カタログ等
 ・これらの意匠に類似する意匠

 通常の業務でも、先行意匠調査としてJ-PlatPatの『意匠検索』を利用した調査をすることは多々あります。しかしながら、あくまでも調査時にウェブ上でアクセス可能な意匠公報(という極限られた範囲)での調査でしかありません。
 よって、登録の可否を判断するとはおこがましいことで、参考程度の調査をした結果から意匠登録出願をすべきか否かをご検討頂くことになります。

2.侵害調査
 こちらの調査は、意匠権侵害の成否に関する調査なので、上記のように膨大な数の公知意匠を調査する必要はありません。調査すべき範囲は、日本の登録意匠であって、かつ意匠権が存続しているものに限定されます。
 また、こちらも、調査時にアクセス可能な意匠公報に対象が限定されるので、審査期間による意匠公報発行までのブラックボックスを考えると調査を複数回行ったほうが好ましいと考えます。

 ただし、ご依頼のほとんどは、登録意匠の属否の判断にウェイトが置かれた鑑定に近いものです。先行意匠調査として意匠公報を調査した場合において、抽出した登録意匠のうち意匠権が存続しているものは、自ずと侵害の成否に触れることになります。この点が、先行意匠調査と侵害調査が混同される一因なのかもしれません。

3.まとめ
 以上、大雑把に記載しましたが、調査に関しては、他にも複数の検討すべきポイントがあります。まずは、大まかな違いを理解頂ければ幸いです。

ハーグ出願(国際意匠登録出願)の状況
2020.06.26

日本
その他・全般
出願

 ハーグ協定に基づく、国際意匠登録出願が可能になって5年程度が経過しようとしています。そこで、現在の出願状況を統計で確認してみました。

1.特許庁発表の出願数(速報値)
 6/26時点で確認することができる、令和2年3月分(令和2年5月26日作成)の速報値を確認してみました。
https://www.jpo.go.jp/resources/statistics/syutugan_toukei_sokuho/document/index/202003_sokuho.pdf

・本国官庁
 H31.4~R2.3(R1年度累計) 21件
 H30.4~H31.3(H30年度累計)41件
・受理官庁
 H31.4~R2.3(R1年度累計) 2484件
 H30.4~H31.3(H30年度累計)2039件

 なお、マドプロ出願(国際商標登録出願)の件数は次の通りです。
・本国官庁
 H31.4~R2.3(R1年度累計) 3198件
 H30.4~H31.3(H30年度累計)3200件
・受理官庁
 H31.4~R2.3(R1年度累計) 18888件
 H30.4~H31.3(H30年度累計)19292件

2.留意すべきこと
 安価で多くの国に出願できることはメリットです。ただし、指定国に直接出願する場合と比べて、留意すべきこともあります。
・図面や意匠の表現に関する規則は、指定国の要件を満たすとは限らない。
・優先権証明書を別途、指定国に提出する必要が生じる場合がある。
・国際公表(原則、国際登録日から6月)後に指定国が審査を開始する。
・拒絶理由通知書等の指定国官からの通知が公開される。

3.まとめ
 本国官庁(日本の特許庁)への出願が、マドプロ出願に比べるとかなり少ない状況だと思います。図面等に関する規則が改善される等、使い勝手が向上すれば出願件数が増える可能性があります。今後の進展を注視したいところです。

「関連意匠制度」の改正に関する続報等
2020.05.12

日本
出願
審判等

 前回、関連意匠制度の改正についてごく簡単に触れさせて頂きました。
 そのうち、注意点として挙げた本意匠(基礎意匠等)を「公知意匠として扱わない意匠」とする旨の規定(意匠法第10条2項および8項:以下、当該規定)に関する運用について告知がありました。以下に、適宜審査基準にも触れつつ、簡単に記載します。

・関連意匠に関する審査基準(意匠審査基準『第Ⅴ部 関連意匠』)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/design/shinsa_kijun/document/index/isho-shinsakijun-05.pdf

1. 当該規定(審査基準3.7)
 当該規定は、関連意匠の意匠登録出願の出願人の意匠(以下、「自己の意匠」)のうち、審査官が次の意匠を関連意匠として意匠登録を受けようとする意匠(以下、出願する関連意匠)の審査において、当該関連意匠の新規性及び創作非容易性の判断の基礎となる公知意匠から除外する旨の規定です。

・ 出願する関連意匠の基礎意匠(本意匠のうち、他の意匠の関連意匠になっていないもの)と同一又は類似する意匠
・ 出願する関連意匠の基礎意匠に係る関連意匠と同一又は類似する意匠

(1) 自己の意匠(審査基準3.7.1)
 審査基準では、2つの意匠を自己の意匠として挙げています。なお、他人が権利を有するものは含まれません。

・ 関連意匠の意匠登録出願人自らが意匠権を有する意匠
・ 関連意匠の意匠登録出願人自らが意匠登録を受ける権利を有している意匠

(2) 公知意匠の公開時期等(審査基準3.7.2)
 次に、何時公開された意匠が該当するのか、について。大雑把な言い方をすると、基礎意匠等の出願後に公開された/それらに係る新規性喪失の例外の適用を受けた意匠です。

・ 出願する関連意匠の基礎意匠と同一又は類似する意匠であって、当該基礎意匠の出願時(優先権主張の効果が認められる場合は、第一国の出願日。)以降に公知となったもの
・ 出願する関連意匠の基礎意匠に係る関連意匠と同一又は類似する意匠であって、対応する当該各関連意匠の出願時以降に公知となったもの
・ 上記の基礎意匠および基礎意匠に係る関連意匠と同一又は類似する意匠であって、それらにおいて、新規性喪失の例外の規定が適用されているもの

(3) 消滅等した意匠に係る公知意匠(審査基準3.7.3)
 これは、前回にも触れたことに同じです。当該規定の例外として「公知意匠として扱われる意匠」に該当する条件です。
 具体的には、審査基準にある通りで、基礎意匠に係る関連意匠の出願が取下げや意匠権の放棄等がされている場合には、それらに係る公知意匠は、審査において新規性及び創作非容易性の判断の基礎とされます。
 なお、基礎意匠の扱いについても同様とのことです(同基準(注2)参照)。

2. 規定の適用において考慮する事項(審査基準3.7.4 (1))
 一方で、実際問題として、公知意匠が関連意匠の意匠登録出願人のものか否かを判断することは困難です。公開されている意匠に必ずしも製造者に関する情報等が明らかにされていないためです。
 そこで、審査基準において「自己の意匠」に該当するか否かを判断する例として、次の4つを挙げています。

・ 公知意匠に示されている標章等から出願人の標章等であることが明らかな場合
・ 関連意匠の意匠登録出願の出願人が複数の者による共同出願である場合であって、公知意匠の実施者がそのうちの一人である場合(当該公知意匠について当該共同出願人以外の者が意匠登録を受ける権利を有している場合を除く。)
・ 関連意匠の意匠登録出願の出願人から意匠権の実施の許諾を受けて実施していることが推測できる場合
・意匠権の移転があり、移転される前の意匠権者と公知意匠の公開者が一致する場合

3. 運用の変更に関する告知
 やっと本題です。上記のような次第ですが、現実の商取引を考えると、審査基準の例示だけでは判断ができない印象を受けます。実際、審査基準案に関する意見募集において、個々の公知意匠が「自己の意匠」に該当することを証明することは困難であり、可能であるとしても証拠を揃えることに時間を要するとの指摘がありました。
 そこで、そのような指摘を踏まえたのかもしれませんが、拒絶理由通知書に対する応答期間内に意見書を提出することが困難な場合かつ出願人からその旨の申出があった場合には、審査官は、職権により応答期間を1か月延長する運用に変更されませした。

新たな関連意匠制度の施行に伴う意匠登録出願における拒絶理由通知の応答期間の延長に関する暫定運用について
https://www.jpo.go.jp/system/design/shinsa/general/zantei_unyo.html

 指定期間経過後における当該期間の延長請求を認める旨の規定が施行されるまでの暫定的な措置とのことです。
 意匠法の改正が施行されたばかりですが、該当する出願が増えてくるにつれて、有益な運用になるものと思います。

令和元年意匠法改正のうち「関連意匠制度」の改正について
2020.04.16

日本
出願
その他・全般

 意匠法の改正により本年(2020年)4月1日から保護対象として画像そのもの、および建築物等の外観や内装まで保護対象とされたことはもちろん、関連意匠制度の改正や権利期間の延長、と意匠制度について大きな改正がありました。
 今回は、これらのうち関連意匠制度の改正について簡単に触れたいと思います。

1. 概略
 従来の関連意匠制度において、関連意匠が出願できる期間は、本意匠に係る意匠登録出願の出願日から同意匠公報の発行日前まで(審査期間を考えると、本意匠の出願日から概ね1年程度(査定不服審判や審決取消訴訟を考慮せず。))でした。
 これに対して、今回の改正では、同期間は、基礎意匠(本意匠のうち、他の意匠の関連意匠ではない本意匠)に係る意匠登録出願の出願日から出願後10年を経過する日前と大幅に長くなりました。

 また、本意匠に既に関連意匠があるときに、当該関連意匠にのみ類似する意匠を関連意匠として登録を受けることも可能になりました。
 さらに、先願(意匠法第9条)として扱われない本意匠や関連意匠の範囲の拡大、審査において公知意匠として扱わない意匠についても規定されています。

2. 実務に関して
 願書への本意匠の記載は、従来どおりです。また、改正前の意匠登録との関係や公知意匠としては扱わない意匠である旨の主張については、以下のサイトに解り易く説明されています。
https://www.jpo.go.jp/faq/yokuaru/design/document/2019_kaisei_faq/kakuju_qa.pdf

 さらに細かな審査基準については、こちらの資料も役に立つと思います。
https://www.jitsumu2019-jpo.go.jp/pdf/resume/resume_037.pdf

3. 注意点
 上記のように、出願人(権利者)にかなり有利になる制度改正ですが、いくつか注意すべき点もあるように感じています。

(1) 公知意匠として扱わない意匠
 一つ目は、「公知意匠として扱わない意匠」の当否について。審査基準では、当該意匠に該当するとみなす意匠には、一定の条件があります。また、当該意匠の当否が争われる場合には、意見をすることも可能です。
 しかしながら、インターネットを通じた情報が大量かつ迅速に拡散される現状において、条件に合致しない意匠が生じる恐れがあるように思います。この点については、審査の蓄積等を待つ必要があると考えます。

 二つ目は、条文にある「除く規定」です。「公知意匠として扱わない意匠」に該当するためには、対象となる本意匠等の出願が取下げ等されていないこと、および同権利が消滅していないことが条件です。結果として、「公知意匠として扱わない意匠」に該当させるたには権利維持が必要になるため、意匠権が不要であったとしても維持せざるを得ない状況が生じる恐れがあるように感じます。

(2) 外国出願
 上述したことは、あくまでも日本国内のみの話です。
 すなわち、基礎意匠の出願日から10年間は関連意匠の出願が可能、かつ「公知意匠として扱わない意匠」という優遇は、外国では受けることができません。
 また、外国でのビジネスも当たり前である状況、および意匠登録出願に係る優先権主張期間が6ヶ月であることも考慮する必要があります。

需要者の関心と公知意匠の参酌
2020.03.16

日本
出願
その他・全般

 意匠の登録要件の審査に関して、新規性として出願された意匠と公知意匠の類否が判断されます。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/design/shinsa_kijun/document/index/6.pdf
 また、意匠の類否の判断主体は、需要者(取引者を含む)です。彼ら(彼女ら)に対して意匠が異なる美感を起こさせるか否かにより類否が判断されます。なお、意匠の形態が需要者の注意を引きやすいか否かの評価においては、先行意匠における形態が考慮されます。
 昨年11月に、これらの点について判断した事件があったので、ご紹介します。

1. そうめん流し器事件(請求容認)
(平成29年(ワ)第8272号損害賠償等請求事件:大阪地判令和元年8月29日)
  https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/911/088911_hanrei.pdf

 原告(権利者)は、家庭で流しそうめんをすることができる「そうめん流し器」に係る全体意匠(第1551624号)の意匠権者です。被告も同様の機器を製造・販売しています。
 そうめん流し器には、高所からレールにより低所にそうめんを流す「ウォータースライダー型」と容器(トレイ)の中をそうめんが循環する「流水プール型」の2種類があり、これらの機器に係る意匠が先行意匠として挙げられています。これが本件の大きなポイントです。

(1) 需要者の関心
 上記のような状況において、需要者が誰で、機器のどこに関心を寄せるかについて判決では、『その需要者は,家庭等で流しそうめんを楽しもうとする一般消費者であると認められる。かかる需要者は,その使用態様に鑑みれば,そうめんの流れ方やすくい取りやすさに主に関心を持つと考えられるから,基本的には,真上や斜め上から見た水路部のうちのレール部及びトレイ部内部の形状に注目するものといえる。』として、機器の用途や機能を丁寧に理解した上で、需要者の関心を判断しました。

(2) 公知意匠の参酌
 被告は、登録意匠の要部(登録意匠の特徴)は、複数の公知意匠を基に、登録意匠のうちごく限られた形態である旨を主張しました。
 これに対して判決では、複数の公知意匠があること認めつつも、『意匠においては,様々な要素の組合せから構成される全体としての視覚情報が最終的には意味を有するものであり,一部に公知意匠が含まれていても,他の要素と併存することで全体としては異なる意匠を構成することもあり得る。』として、『公知意匠が包含されることをもって,直ちにその部分を要部から排除すべきものではない。』と判断しました。
 その上で、登録意匠のウォータースライダー型および流水プール型の各そうめん流し器の構成を組み合わせた形態を要部(特徴)と認めました。

2. 補足
 需要者の関心は、特定された需要者や物品の用途や流通形態によって異なります。今回の事件では、家庭でそうめん流しを楽しむ機器なので、特定の業種や性別ではなく、一般需要者とされ、物品の使用時の形態に重点が置かれた印象を受けます。
 また、公知意匠にある形態を含めて意匠の要部を認定することは、出願の審査でも同じです。ただし、公知意匠の単なる組み合わせ(創作容易)に該当しないこと(3条2項の要件を満たすこと)が前提になります。
 別途請求された無効2018-880004(本件被告が請求人;本件原告が被請求人)では、新規性欠如および創作容易との無効理由が否定され、その審決が確定しています。興味があれば、読み比べてみるのも面白いかもしれません。

意匠に係る図の省略と留意すること
2020.02.17

日本
出願

 従来から、意匠が対称または同一のときの一方の図、底部が見られることがない重量物に係る底面図または画像意匠に関して破線部分のみを表す図は、省略することができます。
 これらの他にも、審査基準の改訂により昨年5月から次のような意匠について、図の省略が認められるようになりました。

1. 内容
(1) 省略が認められる図
 今回の改訂では、具体的にどの図という指定はありません。「意匠の創作の具体的な内容」を特定することができると認められれば、どの図を省略することも認められます。
 例えば、審査基準改訂の概要にあるように、意匠に係る物品が額縁であり、その背面図がなくとも「意匠の創作の具体的な内容」が特定することができれば、背面図の省略が認められます。

 また、部分意匠の場合には、主旨は同じですが、「意匠登録を受けようとする部分の位置、大きさ、範囲が特定できる場合であって、意匠登録を受けようとする部分以外の部分のみが表れる図」を省略することがでるとして、少々条件が付きます。

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/design/shinsa_kijun/kaitei/document/190426_ishou_kaitei/kaitei-sanko.pdf

(2) その取扱い
 意匠をすべて実線で表現した意匠について図を省略した場合には、全体意匠ではなく、部分意匠として取り扱われることになります。図を省略した形態については、「意匠登録を受けようとする部分以外の部分」になるためです。
 なお、部分意匠として出願したものは、図を省略しても、そのまま部分意匠として扱われます。

2. 補足
 以上のように、図の省略が可能になったので実務上の負担は軽くなったと感じます。
 一方で、全体意匠しか認めない国(例えば、中国、タイ)に優先権主張を伴う出願のご依頼があることも考慮すると、図を安易に省略ができないことも現実です。また、省略することにより、権利範囲が不明確になることも避ける必要があります。
 したがって、図を省略する場合には、当たり前ですが、それによって何らかの不利益やデメリットがないかもきちんと確認する必要があります。

英国のEU離脱に伴う欧州共同体意匠に係る出願および登録の扱い(概略)
2020.01.21

欧州
出願
その他・全般

 英国の欧州連合離脱に伴う、欧州共同体意匠(RCD)に係る出願および登録の扱いについて概略のみ紹介させて頂きます。

1. 対象
 欧州連合知的財産庁(EUIPO)への直接出願
 欧州連合知的財産庁(EUIPO)を指定した国際意匠登録

2. EU離脱後の扱い
(1) 離脱日において出願中の案件
 離脱日から9か月の期間において、英国意匠法の規定に従った国内出願をすることにより権利化を図ることができる。当該出願において、欧州共同体意匠出願に係る出願日および優先日が認められる。

(2) 離脱日において登録済みの案件
 存続している欧州共同体意匠は、英国で受けられる保護や権利と同等の保護等が継続される。ただし、EU離脱後に年金(更新)期限が到来する案件は、欧州連合知的財産庁への更新手続きとは別に、英国庁への更新手続きも必要である。

3. 補足
・ 離脱撤回や離脱交渉の延長は考慮されていません。
・ 出願中の案件については、自動的に出願が移行される訳ではなく、英国庁への新たな国内出願が必要です。
・ 大量の欧州共同体意匠が英国意匠として登録されると予想されます。混乱やミスがおこる恐れがあるので、欧州共同体意匠が英国意匠として登録されているかについて、現地代理人を通じてチェックしたほうが好ましいです。
・ 2020年1月7日時点における情報です。掲載情報の正確性については万全を期しておりますが、利用者が当情報を用いて行う一切の行為について、何ら責任を負うものではありません。

---参考情報---
https://www.gov.uk/guidance/changes-to-eu-and-international-designs-and-trade-mark-protection-after-brexit
https://www.gov.uk/guidance/eu-and-international-designs-and-brexit-legal-issues-for-right-holders

商標

包装用容器における立体的形状に係る位置商標
2021.01.29

日本
出願
審判等

 飲食品を指定商品とする位置商標の登録状況を確認したところ、2021年1月27日現在で12件の商標が登録されています。そこで、今回は、焼肉のたれを指定商品とする位置商標の識別力の有無と特別顕著性の具備が争いとなった事件を紹介します。

1.概略(令和2年(行ケ)第10076号審決取消請求事件 令和2年12月15日判決)
  https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/905/089905_hanrei.pdf
 区  分:30類
 指定商品:焼肉のたれ(審判請求時に「調味料」から減縮)
 商  標:容器の胴部中央よりやや上から首部にかけて配された、容器周縁に連続して配された縦長の菱形形状(公開商標公報参照)

 エバラ食品工業株式会社を出願人として、平成27(2015)年5月20日に出願されました。審査および審判の双方で識別力が欠如する商標(商標法第3条第1項第3号に該当)、かつ使用による特別顕著性を具備しない(商標法第3条第2項に該当せず)と判断されました。そこで、出願人が、令和2年(2020年)6月23日に審決の取消しを求めて本件を提起しました。

2.判断
 残念ながら、結論としては請求が棄却され、登録拒絶の判断が維持されました。
 識別力の有無について、包装用容器の装飾の一つとして普通に採択されていること、および位置および形状も特徴的ではなことを主な理由として、位置商標は、識別機能を有するものではなく、装飾として使用されていると判断されました。
 また、位置商標が付された商品の売上や販売に関する実績、広告に関する実績およびアンケート等を基に特別顕著性の具備について検討するも、位置商標が特別顕著性を具備せずと判断されました。
 理由として目を引いたポイントは、次のものです。
・販売実績において、商品の商品名が広く知られているとしても、それにより位置商標が識別標識として認識されている訳ではない。
・テレビCMにおいて、位置商標が視認できるよう映し出される時間が短い。
・宣伝広告において、位置商標を識別標識として強く印象付けるような告知や表示がない。
・アンケートにおいて、位置商標の識別力が、本願商標に係る包装用容器と同高かつ同立体的形状を用いたものとの関係で立証されていない。

3.まとめ
 詳細は判決をご覧頂くとして、位置商標に係る形状の創作の程度概観した限りでは立体商標の識別力の有無および特別顕著性の具備に関する判断に近い印象を受けます。また、位置商標であることを意識した上で販売実績や宣伝広告に関する主張および立証をする必要があるようなので、容器全体を商標とする立体商標と比べて、それらの難易度が高い印象を受けます。包装用容器において立体的形状を位置商標として出願するときの参考になればと思います。

商標権侵害に関する虚偽の事実の告知
2020.11.19

日本
ビジネス
その他・全般

 競合他社が商標権侵害をしている旨を第三者に告知することが、虚偽の事実の告知であるとして不正競争に該当する恐れがあることはご存じかと思います(不正競争防止法第2条第1項第21号)。
 今回は、この条項に関して、模倣品の販売を防止するためサービスに関する通販サイトにおける商標権侵害に関する情報の申告が虚偽の事実の告知とされた事件を紹介します。

令和2年7月10日 東京地裁平成30年(ワ)第22428号 不正競争行為差止等請求事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/629/089629_hanrei.pdf

1.事件の概略
 A社(大手通販サイト運営会社)、原告(甲社:訴外丙社の仮想店舗を通じて商品を販売)および被告(「ブランド登録」サービスに係り、権利侵害申告)が登場人物です。原告および被告とも、枕、マットレス等を夫々販売し、かつ商標権を有しています。

・原告商標登録:第5877349号「Comax\Natural」
        第5799133号「COMAX」 いずれも第20類のマットレス他
・被告商標登録:第5881032号「Comax\Natural」
        第5848611号「COMAX」 いずれも第17類の天然ゴム他

 被告の申告に基づいたA社の判断および措置により、原告商品他の出品が停止されました。これに対して、原告が商標権を有すること等をA社に対して反論するも、出品の停止が解除されなかったので、原告は提訴に至ったようです。

2.申告が虚偽の事実の告知か否かに関する判断
 裁判所は、次のことから、被告の行為が虚偽の事実の告知に該当するとして原告の主張を認めました。
・申告において商標権侵害とは明示していないものの、「偽造品であること」の記載は、他人の信用が化体した標章を商標権等の正当な法的権原なく商品に付すことが含まる。
・原告の登録商標はマットレス等に関するものであることに対して、被告の登録商標は天然ゴム当に関する。よって、原告商品は、被告の商標権を侵害しない。
・被告は外国企業と契約に基づく独占販売権を主張するが、原告は登録商標をその商品に使用しているため、当該販売権を侵害するものではない。

3.まとめ
 なお、被告の前代表者が原告の関連会社に間借りして会社を経営していた経緯があるようで、この点は通常の競合他社同士の関係とは異なります。また、申告と損害の因果関係に関連して、A社の判断と出品停止の措置は、合理的な根拠がない旨が指摘されています。
 被告がどのような申告をすべきだったのかまでは言及していないものの、ウェブ通販における模倣品の流通防止のための対応に関して注意すべきことを示す例かと思います。

英国のEU離脱に伴う欧州連合商標に係る出願および登録の扱い(続報)
2020.10.22

欧州
出願
その他・全般

 英国の欧州連合離脱に伴う移行期間が、本年12月31日で終了します。そこで、以前紹介した概略について更新させて頂きます。

1.対象
 欧州連合知的財産庁(EUIPO)への直接出願
 欧州連合知的財産庁(EUIPO)を指定した国際商標登録

2.移行期間終了後の扱い
(1)2020年12月31日において出願中の状態(Pending; not granted)の案件
 2021年1月1日~9月30日までの期間に英国商標法の規定に従った国内出願をすることにより権利化を図ることができる。当該出願において、欧州連合商標出願に係る出願日、優先日および英国に係る先行権(seniority)が認められる。

(2)2020年12月31日において登録済みの案件
 存続している欧州連合商標は、英国で受けられる保護や権利と同等の保護等が継続される(所謂、clone登録)。

(3)2020年12月31日において登録済みの案件の更新
 移行期間終了後に更新期限が到来する案件は、欧州連合知的財産庁への更新手続きとは別に、英国庁への更新手続きも必要である。
 換言すると、移行期間内に欧州連合商標に係る商標権の更新手続きがされていたとしても、英国庁への別途手続を要する。

3.補足
・直接出願、国際商標登録出願のいずれを問わず、現時点で欧州庁への出願を検討されている場合には、英国と欧州庁の双方への出願を検討したほうが好ましいと考えます。欧州庁での出願~登録が概ね3月前後を要するため、移行期間内に登録されない恐れがあるためです。
・2020年10月21日時点における情報です。掲載情報の正確性については万全を期しておりますが、利用者が当情報を用いて行う一切の行為について、何ら責任を負うものではありません。

---参考情報---
https://www.gov.uk/guidance/changes-to-international-trade-mark-registrations-after-the-transition-period#history
https://www.gov.uk/guidance/eu-trademark-protection-and-comparable-uk-trademarks
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/madrid/wipo-oshirase/20200819_uk_ridatsu.html

商標権侵害訴訟における不使用の主張
2020.09.23

日本
審判等

 特許法第104条の3第1項を準用する商標法第39条により、商標権侵害訴訟においても無効理由を有する商標登録に基づく権利行使については商標権者等の権利行使には制限があります(除斥期間の経過による例外あり)。
 商標法では登録商標の不使用による取消(商標法第50条)が認められるものの、取消理由は、上記制限条項には含まれません。では、不使用による取消の対象となる商標権に基づく権利行使は何ら問題ないのでしょうか?

1.事件の概略(知財高裁令和2年6月4日 平成31年(ネ)第10024号)
 第14類「時計」に係る登録商標「moto」の商標権を侵害されたと主張する控訴人(原告)が「moto」他を所謂スマートウォッチに使用する被控訴人(被告)に対して差止等を求めた事件の控訴審です(原審:東地平成29年(ワ)第15776号)。原審では請求の一部(損害賠償額の一部)が認められましたものの、その他の請求が棄却されました。これを不服として原告が控訴をしたものが、本件です。
 侵害が問われた商品の関係者と思しき法人から、次の商品について不使用を理由として登録商標の不使用取消請求がされました。
 ・14類「時 計」:取消請求不成立(審決確定)
 ・14類「腕時計」:取消請求成立(審決取消訴訟係属中)

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/523/089523_hanrei.pdf

2.裁判所の判断
 登録商標の使用については、不使用取消審判請求の登録日前3年以内(要証期間内)において原告商標が腕時計について登録商標を使用されていないとして、「腕時計」に係る登録は取り消されるべきものであると判断しました。また、他の争点である所謂スマートウォッチ(商品等審査基準では第9類の「腕時計型携帯情報端末」)は、第14類の「時計(腕時計を除く時計)」とは類似しない判断しました。
 その上で、原審を維持し、控訴人の主張は権利濫用であるとして差止請求を認めない一方、損害賠償請求については権利濫用ではないとして控訴人が損害賠償を求めた期間の損害を認めました。

3.まとめ
 上記の事件では、不使用商標に基づく権利行使の可否のみが争点ではありませんが、商標権侵害訴訟において不使用に基づいて取消されるべきである旨の主張は、状況によっては効果がある一例です。

商標調査について
2020.07.20

日本
その他・全般

 意匠の調査に関する話があったので、ついでと言っては恐縮ですが、出願前の先行登録商標調査(4条1項11号に該当するか否かに関する調査(登録商標に類似するか否かの調査))と侵害調査(商標権侵害か否かの調査)の違いについて簡単にまとめてみました。

1.先行商標調査
 意匠法の登録要件と異なり、商標法の登録要件では所謂「公知」が要件ではありません。よって、意匠の先行調査と比べて調査範囲が限定されているので、こちらの調査を行うことは可能です。ただし、出願からその内容が公開されるまでに10日前後を要するため、ブラックボックスがあることに注意が必要です。

 先行商標調査としてJ-PlatPatの『商標検索』の称呼検索を利用した調査をすることも多いかと思います。ただし、当該検索においては、商標権が消滅した商標や拒絶査定(審決)が確定した商標が一定期間経過後に検索できなくなる仕様となっています。よって、単純に出願を検討している同一/類似の商標の有無は判るものの、同一/類似の商標があったこと、あったとしたら何故なくなったのか?を把握することができません。
 よって、可能であれば、私企業が提供する有料のデータベースも併せて利用すべきです。

2.侵害調査
 こちらの調査は、商標権侵害の成否に関する調査なので、調査範囲はほぼ同じす。すなわち、日本の登録商標であって、かつ商標権が存続しているものになります。ただし、先行商標調査とは、観点がやや異なります。
 問題の商標と登録に係る商標の類否を外観、称呼および観念を基に検討することは同じです。
 一方で、商標権侵害は問題となる商標における使用態様を基に判断されるため、商標の使用態様により重きを置くことが多くなります。また、商標の識別力は商取引や世情も影響することから、この観点も重要です。他には、商標の類否になりますが、審査ではあまり考慮されない?取引の実情も観点とすべきかもしれません。
 これらのことは、商標に係る商品等の取引形態や業界によっても異なる印象を受けます。

 なお、商標権侵害の話になると、必ずと言っていいほど損害賠償額の質問を受けることがあります。しかしながら、現行法では、権利者の損害額等が基になるので(民法709条他、商標法38条)、事前に具体的な金額を算出することはできません。私見ですが、差止請求によるビジネスの停止と商標変更等によるパッケージや各種媒体の変更にも相応の費用が発生するので、損害賠償云々よりも、いかにビジネスを安全かつ確実に遂行できるかを主として検討すべきであると考えます。

3.まとめ
 以上、大雑把に記載しましたが、調査に関しては、他にも複数の検討すべきポイントがあります。まずは、大まかな違いを理解頂ければ幸いです。

建物の外観/内装に関する立体商標の出願について
2020.06.26

日本
出願

 本年4/1から、意匠法の改正と並行して、建物の外観/内装に関する形態が立体商標として保護されることになりました。そこで、出願が受理されるようになってから3か月弱が経過するので、どのような出願がされているか確認してみました。

1.Jplat-Patによる検索
 検索をした(6/21現在)で立体商標として次の5件の出願が検索されました。

出願人:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
・出願番号:商願2020-035436
 立体商標:店舗または施設の内装
 区  分:35類(小売役務等)

・出願番号:商願2020-035437
 立体商標:店舗または施設の内装
 区  分:35類(小売役務等)

・出願番号:商願2020-035438
 立体商標:店舗または施設の内装
 区  分:41類(図書及び記録の供覧等)

・出願番号:商願2020-036012
 立体商標:店舗または施設の内装
 区  分:35類(小売役務等)

出願人:株式会社東横イン
・出願番号:商願2020-056547
 立体商標:建物の外観
 区  分:43類(宿泊施設の提供等)

2.所感
 意匠登録出願については登録後に意匠公報が出るまで、詳細を把握することができません。よって、建物の外観や内装に関する意匠が、どのような意匠で、どれ位の件数が出願されているかは、現時点では不明です。通常の審査期間を考慮すると、早くて本年末位には、これらに関する意匠登録の詳細を確認したいところです。

 建物の内装等に関する商標登録出願は、商標登録による保護の需要はありそうなので、思ったより少ない印象を受けました。新規性が登録要件ではなく、識別力の有無の見極めが難しいように感じるので、これから出願が増えていくのかもしれません。

単色からなる色商標に関する審決/判決について
2020.05.11

日本
出願
審判等

 色彩のみからなる商標(以下、色商標)の登録が認められるようになってから、今年の4月1日で5年が経過しました。そこで、登録状況を概観しつつ、目についた審決や判決をピックアップしました。

1. 登録状況
 J-PlatPatで検索したところ、検索日(2020年5月8日)時点において、最初に登録になった第5930334号を含む8件の商標が登録されています。なお、いずれの色商標とも2以上の複数の色からなる商標です。検索結果を見る限りでは、単一の色からなる色商標(以下、単色商標)の出願はあるものの、登録は皆無です。

2. 審決/判決
 一方で、審判や審決取消訴訟で登録性を争った案件も公開されています。知っているものだけで恐縮ですが、以下に挙げさせて頂きます。
(1) 審決(不服2017-2203:拒絶審決確定)
 第7類の商品について出願された、黄色からなる単色商標です。商標法3条1項3号に該当するとの拒絶理由に対して同法3条2項に該当する旨を主張するも、主張が認められずに拒絶査定となりました。なお、審判においても同主張が認められず、拒絶審決がされました。
 詳細は審決公報をご覧頂くとして、本件では、商標法3条2項に該当するか否かの判断において『単一の色彩の保護について』として示された以下の事項が参考になると考えます。

 色彩は,古来存在し,何人も自由に選択して使用できるものであり,単一の色彩それ自体には創作性や特異性が認められるものではないから,仮に,単一の色彩が出所表示機能(自他識別機能)を持つようになったと思われる場合であっても,色彩が元々自由に使用できるものである以上,色彩の自由な使用を阻害するような商品表示(単一の色彩)の保護は,公益的見地からみて容易に認容できるものではない。
 そして,単一の色彩が特定の商品に関する出所識別標識として保護される場合があるとしても,当該色彩とそれが施された商品との結びつきが強度なものであることはもちろんとして,(a)当該色彩をその商品に使用することの創造性,特異性,(b)当該色彩使用の継続性,(c)当該色彩の使用に関する宣伝広告とその浸透度,(d)取引者や需要者が商品を識別,選択する際に当該色彩が果たす役割の大きさ等も十分に検討した上で決せられなければならない。

(2) 判決(令和1年(行ケ)第10119号:拒絶審決確定)
 第36類の役務について出願された、橙色からなる単色商標です。商標法3条1項6号に該当するとの拒絶理由に対して使用による著名性の獲得等を主張するも、主張が認められずに拒絶査定となりました。なお、審判および訴訟においても同主張が認めらませんでした。判決から、出願人(原告)が不動産の情報を提供するポータルサイトを運営しており、単色商標は、当該サイトのイメージカラーとのことです。
 こちらの判決では、色商標の原則を踏まえて、次のような判断を示しています。

 本願商標の橙色が使用されているが,これらの文字,図形等から分離して本願商標の橙色のみが使用されているとはいえないことを総合すると,原告ウェブサイトに接した需要者においては,本願商標の橙色は,ウェブサイトの文字,アイコンの図形,背景等を装飾する色彩として使用されているものと認識するにとどまり,本願商標の橙色のみが独立して,原告の業務に係る「ポータルサイトにおける建物又は土地の情報の提供」の役務を表示するものとして認識するものと認めることはできない。
 したがって,本願商標は,本願の指定役務との関係において,本来的に自他役務の識別機能ないし自他役務識別力を有しているものと認めることはできない。
(中略)
 そうすると,仮に原告が主張するように原告ウェブサイが不動産総合ポータルサイトのトップブランドとして周知著名であり,各不動産総合ポータルサイトがそれぞれイメージカラーを施しており,それらの色による棲み分けがされているとしても,不動産総合ポータルサイトに接する需要者が,色彩のみによってポータルサイトを識別可能な状況にあるものと認めることはできない。

3. まとめ
 上記2つの事件に係る判断、および色商標に係る商標法改正の説明会における講師(特許庁の担当官)の方の説明の記憶から、単色商標の登録は、通常の商標(文字や図形からなる商標)と比べて、ハードルが格段に高い印象を受けます。
 とはいえ、登録にならない訳ではないとも思うので、単色商標の登録を楽しみに待ちたいところです。

令和二年商標審査基準の改訂について
2020.04.16

日本
出願

 本年(2020年)4月1日からの意匠制度の改正については、特許庁をはじめとして様々なところから情報が発信されているので、ご存じのかたも多いと思います。保護対象として画像そのもの、および建築物等の外観や内装まで保護対象とされたことはもちろん、関連意匠制度の改正や権利期間の延長と盛りだくさんの内容です。
 一方で、同日から、商標制度も審査基準レベルで改訂がされました。今回はこの点について簡単に触れたいと思います。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kijun-kaitei/15th_kaitei_2019.html

1. 概略
 Jplat-Patで検索して頂くと明らかですが、店舗や建物と思しき画像を立体商標として登録しているものは、いままでも多数あります。今回の改訂により、店舗の外観や内装を立体商標として保護することが明らかとなりました。
 また、商標の詳細な説明の記載により、立体商標の特徴および特徴でない要素(破線等により特定)を説明することも認められる旨も明示されました。

 意匠制度の改正においても建物の外観および内装が保護対象となったことから、パッと見は、意匠も商標も同じに感じるかもしれません。
 しかしながら、意匠法では、登録の要件として所謂新規性および創作非容易性が要求されます。よって、新規性喪失の例外の適用を受ける例外を除くと、現在好評を博している店舗の外観等は保護されない恐れがあります。

 これに対して、「業務上の信用」を保護する商標法では、新規性等が要件とはされていません。むしろ、好評を博している店舗の外観等こそ「業務上の信用」が蓄積されていると思われるため、意匠ではなく商標として登録すべきです。今回の改訂により、店舗の外観等がより柔軟に保護されることが期待できます。

2. 注意点
 そうは言っても店舗の外観等に係る立体商標の登録がし易くなったとか、簡単になったという訳ではありません。

 店舗の外観等に係る立体商標が建物の形状や内装の形状そのものの範囲を出ないと認識されるにすぎないときには識別力が無いと判断されます(商標法第3条第1項第3号審査基準参照)。また、立体商標が、指定商品等を取り扱う店舗等の形状にすぎないと認識される場合も同じです(同第6号)。
 他人の登録商標との類否判断においても、他人の登録商標全体と比較されます(商標法第4条第1項第11号)。また、他人の著名な店舗の外観等と類似するものについては、出所の混同の恐れがあると判断されます(同15号)。

3. まとめ
 どのような審査がされるかについては、今後の審査状況や登録商標から傾向を見極める必要があるかと思います。ただし、立体商標として店舗の外観等の登録が蓄積されているので、既存の登録に関する審査と大きくことなることはないと推測しています。

 それでも敢えて考えると、「商標の詳細な説明の記載」において特徴をどう記載し、かつ特徴でない要素(破線)をどこと特定するか、がポイントになってくるかもしれません。商標としてどこがどのように機能しているかを判断するのは、例えばサービスの提供者たる権利者の認識ではなく、サービスの被提供者である需要者の認識を基に判断されるためです。
 したがって、出願する時点において需要者の認識を推し量ることは難しいことから、店舗の外観等の全体や店舗等の特徴と思しき要部と複数の出願を検討することも一考に値するかもしれません。

文字商標に関する出所識別機能
2020.03.16

日本
出願

 商標登録の要件の1つとして商品等の普通名称は品質表示等に該当しないことが要件とされます(3条1項各号)。
 今回は、この点について簡単に説明します。ポイントは、商品や役務(サービス)との関係で考えること、および判断時です。

1. 概説
 そもそも、なぜこの要件が求められるかについて、主に次のことが言われています。
・ 商品等に関して普通に/ビジネス上よく使用される言葉を商標として使用をしても、その出所(商品や役務の提供者)が判らない。
・ そのような言葉を商標登録することにより(商標権を設定することにより)、通常の商取引(ビジネス)が阻害される恐れがある。
 そして、例えば、次のような言葉を挙げることができます。

・ 1号:商品/役務の普通名称を普通に表示する商標 「鉛筆」について『えんぴつ』
・ 2号:商品/役務について慣用されている商標 「酒」について『正宗』
・ 3号:商品の産地や品質等を普通に表示する商標 「ワイン」について『山梨』
・ 4号:ありふれた氏/名称を普通に表示する商標 商品等を問わず『鈴木』
・ 5号:極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみの商標 商品等を問わず『○』
・ 6号:需要者が何人かの業務に係るものであると認識できない商標 商品等を問わず『令和』

2. その一方で
 とは言え、あらゆる「普通名称」や「品質表示」が登録不可と判断される訳ではありません。そもそも、「普通名称」や「品質表示」は、商品や役務との関係で判断されるためです。
 ここでは、例をいくつか挙げます。このような商標は、探せば山ほど検索することができます。いずれも、適法に登録された商標です。

・ 『APPLE\アップル』(第4023044号)第12類 自動車他
 「りんご」(第31類)との関係では普通名称だけど、自動車との関係ではOK。
・ 『かわいい動物』(第4496317号)第30類 菓子及びパン
 「愛玩動物」(第31類)との関係では品質表示だけど、菓子との関係ではOK。
・ 『ビール\BEER』(第5131070号)第24類 布製身の回り品
 「ビール」(第32類)との関係では普通名称だけど、ハンカチとの関係ではOK。

3. 判断時はいつか?その一方で
 そうは言っても、商品との関係でも普通名称や品質表示が登録されていることも事実です。
 ところで、出願が全ての登録要件を満たすと判断される基準時はいつでしょうか、出願日、大安吉日?これについて、審査では、査定(審決)時とされています。審査官が登録/拒絶の決定をしようとした時です。
 つまり、今現在(この記事が読まれている時)は、商品等の普通名称や品質表示に該当するとしても、査定当時はそれらに該当しないと判断されたため登録されたことになります。商品と関係で普通名称と思われる登録商標は、それらが更新されることにより現在に至ったものではないかと考えます。

4. 補足
 上述した他にも、「普通で表示したものではないこと」や一部の規定では使用の頻度等によって登録が認められることがあります(3条2項)。これらのことは、解説や説明が多くあるので、そちらを参照頂ければ幸いです。

指定商品・指定役務に関するトピックス
2020.02.17

日本
出願

 指定商品&指定役務およびその区分に関する情報についてお伝えします。

1. 2020年1月からの審査基準の改訂
 細かな改訂ポイントがいくつかありますが、今回の大きなポイントは、30類「菓子」が、次のように29類にも分けられました。

・ 29類 菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。)
・ 30類 菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)

 大まかには、主原料によって、29類、30類のいずれかに分かれます。
 例えば「アーモンド入りチョコレート」は、従来と同じく30類です。この商品の主原料は、「アーモンド」(ナッツ)ではなく、「チョコレート」ということになります。
 何を主原料と考えるかによって区分が異なることになりますが、あられと豆類がパックになった商品は、夫々の量の多少によって区分が異なるのでしょうか?
 いずれの区分の菓子でも類似群コード(30A01)は同じです。しかしながら、区分の違いは、権利範囲として専用権と禁止権の違いにもなります。また、権利範囲のずれは、不使用取消審判により取消される恐れがあります。細かな線引きは難しいと思いますが、審査結果の蓄積を待つ必要がありそうです。

2. 採用できない商品・役務名
 少し前の情報になるので恐縮です。
 採用できる指定商品または指定役務の表現は、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で検索することができます。
 約2年前から『採用できない商品・役務名について』として採用できない(商標法第6条違反となる)表現が公表されるようになりました。
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/bunrui/saiyoudekinai_gands.html
 また、こちらは昨年だと記憶していますが、J-PlatPatでも採用できない商品等として『不可』の商品等も検索することができるようになりました。

 実務上、願書にOKの表現を記載することが大切なのは言わずもがなですが、NGの表現を避けることも必要です。今後、さらに使い勝手がよくなることを期待します。

英国のEU離脱に伴う欧州連合商標に係る出願および登録の扱い(概略)
2020.01.21

欧州
出願
その他・全般

 英国の欧州連合離脱に伴う、欧州連合商標(EUTM)に係る出願および登録の扱いについて概略のみ紹介させて頂きます。

1. 対象
 欧州連合知的財産庁(EUIPO)への直接出願
 欧州連合知的財産庁(EUIPO)を指定した国際商標登録

2. EU離脱後の扱い
(1) 離脱日において出願中の案件
 離脱日から9か月の期間において、英国商標法の規定に従った国内出願をすることにより権利化を図ることができる。当該出願において、欧州連合商標出願に係る出願日、優先日および英国に係る先行権(seniority)が認められる。

(2) 離脱日において登録済みの案件
 存続している欧州連合商標は、英国で受けられる保護や権利と同等の保護等が継続される。ただし、EU離脱後に更新期限が到来する案件は、欧州連合知的財産庁への更新手続きとは別に、英国庁への更新手続きも必要である。

3. 補足
・ 離脱撤回や離脱交渉の延長は考慮されていません。
・ 出願中の案件については、自動的に出願が移行される訳ではなく、英国庁への新たな国内出願が必要です。
・ 大量の欧州連合商標が英国商標として登録されると予想されます。混乱やミスがおこる恐れがあるので、欧州連合商標が英国商標として登録されているかについて、現地代理人を通じてチェックしたほうが好ましいです。
・ 2020年1月7日時点における情報です。掲載情報の正確性については万全を期しておりますが、利用者が当情報を用いて行う一切の行為について、何ら責任を負うものではありません。

---参考情報---
https://www.gov.uk/guidance/changes-to-trade-mark-law-after-brexit#registering-a-pending-eutm-application-as-a-uk-trade-mark
https://www.gov.uk/guidance/changes-to-international-trade-mark-registrations-after-brexit

その他・全般

学校の名称に関する事件(「京都芸術大学」事件)
2020.12.17

日本
その他・全般

 ニュースでも取り上げられたのでご存じの方もおられるかと思います。9月に判決が公開されて少々時間が経過したので、現時点で判ることも含めてまとめました。

1.事件の概略(大阪地裁令和2年8月17日 令和元年(ワ)第7786号)
 京都市立芸術大学を運営する原告(公立大学法人京都市立芸術大学)が、同名称を「京都造形芸術大学」から「京都芸術大学」に変更した被告(学校法人瓜生山学園)に大学の名称「京都芸術大学」の使用の差止めを求めた事件です。
(原告が著名/周知を主張した表示)
1)京都市立芸術大学
2)京都芸術大学
3)京都芸大
4)京芸
5)Kyoto City University of Arts
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/685/089685_hanrei.pdf

2.裁判所の判断
 裁判所は、「京都市立芸術大学」のみ周知性を認めた上で、当該表示と「京都芸術大学」は非類似であると判断しました(請求棄却)。なお、原告は当該判決を不服として、控訴したそうです。
https://www.kcua.ac.jp/20200908_kouso/

(1)著名性/周知性
 裁判所は、使用状況から全国またはこれに匹敵する広域において一般的に知られていないとして、いずれの表示も著名性を否定しました。
 一方で、周知性については、京都府およびその周辺地域において一般的に知られているとして、上記表示1「京都市立芸術大学」についてのみ周知性を認めました。なお、そのほかの表示、表示2~同5については周知性を認めませんでした。

(2)出所の混同
 上記(1)のことから、原告の周知表示「京都市立芸術大学」と被告の表示「京都芸術大学」との類否を判断した訳ですが、裁判所は、次の理由から、結果として非類似と判断しました。
・当該周知表示において「京都」、「芸術」および「大学」がありふれているため、自他識別機能または出所表示機能はいずれも乏しいものの、「市立」はそれらの機能が高い。
・需要者は、複数の大学の名称が一部でも異なる場合に、これらを異なる大学として識別するために、当該相違部分を特徴的な部分と捉えてこれを軽視しない取引の実情がある。
・よって、当該周知表示全体「京都市立芸術大学」を要部として把握すべきである。
・一方で、被告表示は「京都芸術大学」であり、「市立」の語の有無から違い、および上述した取引の実情がある。

3.商標登録出願
 不正競争防止法に関する事件の結果は、上述したような次第です。一方で、商標登録やその出願に関して簡単に調べてみました(別紙参照)。
 別紙リストは、2020年12月17日現在の検索結果です。被告が出願人である「京都芸術大学」(商願2019-097747)と原告が出願人の同商標(商願2019-104711)は、出願日が僅か1日の違いです。なお、前者の出願は、その経過を見ると、審査が保留されています。事件において周知性等が主張された原告の表示も出願されており、これらも含めて、今後の経過に注目したいところです。

4.私見とまとめ
 あくまでも私見ですが、運営主体に係る「市立」がそこまで自他識別機能他が高い印象はないと共に他の語が共通することから、夫々の表示が近しいことは否めません。そうであれば、「京都市立芸術大学」が周知であることを考えると、混同する需要者がいても不思議ではないと感じます。この辺りのことが、控訴審で主張&判断されるか否か、興味があるところです。

 学校の名称に関する事件では、呉青山学院中学校事件(東京地裁平成13年7月19日判決)や国際自由学園事件(最高裁平成17年7月22日第二小法廷判決)があります。いずれも、他者が近しい名称を使用していることに端を発した事件なので、興味がある方は、これらの判決文と読み比べてもおもしろいかと思います。

貴社特許(シーズ)に基づく新規技術領域創出サービス
2017.11.14

その他・全般
ビジネス

2017年11月に行われた特許情報フェアにおいて、「貴社特許(シーズ)に基づく新規技術領域創出サービス」についてプレゼンテーションを行いました。ご興味がある方はご連絡ください。

ロシア特許庁の料金改定のお知らせ
2017.11.10

その他・全般
出願

ロシア(RU)特許・意匠・実用新案の庁費用が改定されました。